革の手染めバッグ・財布の選び方 ― ぼかし染めとフルーティ染め、何が違う?
革のバッグや財布を選ぶとき、「手染め」という言葉を目にすることが増えました。ですが、量産品の革とは具体的に何が違うのか、どこを見て選べばいいのか、実はあまり知られていません。革工房Rickieyで日々手染めをしている立場から、選び方のポイントをまとめてみます。
量産の革と、手染めの革の違い
工場で染められる革の多くは、あらかじめ決まった色をムラなく均一に仕上げることを目指します。効率よく、同じ品質のものを作るためには理にかなったやり方です。
一方、手染めは職人が一枚一枚、革の表情を見ながら色を重ねていきます。同じレシピで染めても、革の個体差や重ねる回数、その日の力加減によって、仕上がりは少しずつ変わります。均一さを手放す代わりに、量産品には出せない奥行きと生命感が生まれる。これが手染めの一番の魅力です。
Rickieyの「ぼかし染め」と「フルーティ染め」
ぼかし染め — 中心から外側へ向かって色が沈み込んでいくような、グラデーションが特徴の染め方です。バイオレットブルーやボルドーレッドなど、色の系統ごとに何十色ものバリエーションがあり、光の当たり方によって表情が変わります。落ち着いた印象に仕上げたい方に選ばれることが多い技法です。
フルーティ染め — その名の通り、果実の断面のように複数の色を重ね合わせる染め方です。ブルーベリーオレンジやマンゴーピーチなど、一色では出せない複雑な色合わせが特徴で、個性を主張したい方や、周りと被らないアイテムを探している方に向いています。
ふたつの技法が行き着く先、「カラフル増す」
「カラフル増す」シリーズは、ぼかし染めとフルーティ染め、ふたつの技法が地続きでつながった、Rickieyの染めの集大成といえるシリーズです。
仕組みはこうです。革を細かなマスに分け、そのひとマスひとマスを、ぼかし染めの技法で個別に染めていきます。一つひとつは、中心から外側へ色が沈み込んでいく、いつものぼかし染めそのものです。それを何マスも組み合わせて一枚の作品に仕立てると、隣り合うマスどうしの色が響き合い、フルーティ染めのような複雑で奥行きのある色の重なりが自然と生まれてくる。「増やす」というシリーズ名の通り、ぼかし染めのマスを増やしていった先に、フルーティ染めに通じる表情が立ち上がってくる。それが「カラフル増す」という作り方です。
マスの数や色の組み合わせは作品ごとに変わるため、同じ配色は二つとありません。色選びに迷ったときや、一色では物足りないと感じたときは、この「カラフル増す」シリーズから覗いてみるのもおすすめです。これまでの手染めで積み重ねてきた色の引き出しを、一つの作品でまとめて楽しんでいただけます。
バッグを選ぶときに見ておきたいポイント
普段使う色との相性 — バッグは服装や他の持ち物と合わせる機会が多いアイテムです。手持ちの色との組み合わせを想像しながら選ぶと、長く使いやすくなります。
色の面積の大きさ — バッグは面積が大きいぶん、色の印象がはっきり出ます。ぼかし染めのような落ち着いたグラデーションは主張しすぎず、フルーティ染めは差し色として存在感を発揮します。
持ち手やコバ(革の切り口)の仕上げ — 色だけでなく、細部の縫製や仕上げも手仕事の質が表れる部分です。写真だけでなく、可能であれば実物や近い色見本で確認するのがおすすめです。
財布を選ぶときに見ておきたいポイント
毎日手に取るものだから、飽きのこない色を — 財布は身につける時間が長く、目にする頻度も高いアイテムです。一目惚れの色も良いですが、日常に馴染むかどうかも考えてみてください。
経年変化との付き合い方 — 手染めの革は、使い込むほどに色に深みが増していきます。今の色だけでなく、数年後にどう育っていきそうかを想像するのも、手染めならではの楽しみ方です。
文字入れやオーダーの余地があるか — Rickieyでは色だけでなく、好きな言葉を革に刻めるオーダーも承っています。自分だけの一冊のように、財布に想いを込めたい方はこうした選択肢も検討してみてください。
「世界に一つだけ」という言葉の、本当の意味
手染めの製品はよく「世界に一つだけ」と紹介されますが、これは単なるキャッチコピーではありません。同じ色名で染めても、二つと同じ仕上がりにはならない。これは手染めという技法の性質そのものです。だからこそ、あなたが選んだその一点は、最初からあなたのために生まれたような色合いになります。
革工房Rickieyでは、大阪の工房で一枚一枚、手染めでバッグや財布、スマホケースなどの革小物を制作しています。色を選ぶところから相談したい方は、オンラインショップや個別のご相談ページからお気軽にお声がけください。




